
たけと申します。現在、某半導体メーカーでプロセスエンジニア兼係長として働いています。私は昨年46才の時に、今の会社に転職で入社しました。会社は3社目です。
これまで半導体分野でも10種類弱の仕事を経験しており社内応募、転職含めて自分の気持ちと希望を優先しながら様々な異動を成功させてきました。
結局は「自分が満足できる環境で働く」ことが大事ですが異動の願いはセンシティブな話題ですので、上手に伝えないとトラブルの元になります。
本日は、異動の際に注意すべき事、そして上手な異動願いの伝え方をまとめますので、是非ご一読いただければと思います。
目次
異動願いを出す前の注意点
本項目では異動願いを出す前の注意点を詳しく解説していきます。注意点は
- 希望の異動先を根拠を持って決める
- 次の異動先で役に立つ知識・スキルを学ぶ
- 逃げたい気持ちが先行していると危険
- 現職場での評価が悪い場合は注意
の4点です。では詳しくご説明をしていきますね。
希望の異動先を根拠を持って決める
異動願いを出す前に、希望の異動先をしっかりした根拠をもって決めておくことは重要です。
なぜなら異動先を選んだ理由を上司にきちんと説明できないと「あっこいつ今の仕事が嫌なだけだな」「いい加減な奴だな。どうせ移ってもダメだよ。」と軽く見られてしまいまともに取り合ってもらえない可能性がある為です。
これは私の苦い経験になりますが、前職で課長職をしていたときに部下からいい加減な異動願いの打診を受けたことがあります。技術営業でしたが「開発ならどこでも良いので移りたい」とのことでした。
この時の私の正直な気持ちは「ここが嫌で他に移りたいだけだね」「やりたいことも無いのに異動の希望は矛盾してるだろ?」でした。悲しくなったので人事権のある部長に丸投げしちゃいました。
私も人間ですので、本音で「こんな部署嫌だから、どこでも良いから出たい」という人は、もう他人としてそれなりの扱いしかしません。誰だってこんな人に時間も負担もかけたくないと思うでしょう。
逆に明確な根拠を持って、例えば「技術営業の経験は積んだけど、より上流で製造プロセス開発の仕事を担当し、自分の手で高品質な製品開発をしたい」という打診があれば100%応援したと思います。
異動するから目の前の人は他人、もしくは敵、みたいなスタンスでいい加減な異動願いを出されると誰でもぞんざいな扱いをしてしまうと思います。よっぽどの人格者でなければ(^^;。ご注意を。
次の異動先で役に立つ知識・スキルを学ぶ
次の異動先で役に立ちそうな知識やスキルを予め学んでおくことは非常に大切です。どうしてだか分かりますか?
なぜなら、上司に異動の打診をした段階で「いい加減ではなく本気であること」「今後の進路を極めて真面目に考えている」ことが一発で伝わるからです。これほど効果的なアピールはありませんよ。
例えばあなたが課長さんで部下にこんな相談をされたらどう答えますか?
「実は〇〇の部署で仕事をしたいと思い、独学でその分野の書籍を購入して勉強し、その部署の知り合いにも僕の技術力や知識でやれるのか本気で相談しています。新しい挑戦をお許しください!」
僕なら許すどころか、自分の社内ネットワークをフルに駆使して部下が一番望む業務ができるよう尽力すると思います。そして今後も良好な関係を継続し、お互い困ったときに助け合える関係でいます。
それぞれの人にやりたいこと、好きなことは違います。仕事だからと我慢して過ごすのも手ですが、今まで積み上げたことも大事に生かしつつ、本気で新分野に挑戦しようとする人は素直に応援したくなります。
逃げたい気持ちが先行していると危険
とにかく逃げたいだけで異動願いをしてしまうと取り返しのつかないことになりかねません。
というのも、さきほどと同じように「現状から逃げられるなら何でも良い」と焦ってしまい、現在よりも更に向いていないブラックな部署に移ってしまう危険性があるからです。実はこれ良くあります。
具体例として1社目の友人の話をします。1社目は総合電機メーカーで、人事、総務から企画、営業、開発、量産、研究まですべてがそろった巨大企業でした。多分あなたもご存じの一部上場メーカーです。
友人の部署はたたき上げの設計者が多く、酷い縦社会でした。新人は始業の1時間前に絶対出社、朝一で部署全員の昼ご飯(弁当)を手配、残業は最後まで帰れず、誰かが休日出勤したら道連れ。あり得ないでしょ?
実はその友人は日本最高峰のT大卒業生で、学生時代は研究で賞をとったほどの優秀なエンジニアなのにこの扱いです。プライドも崩壊し、逃げられたらどこでも良い!と企画部に社内転職しました。
ですが、この選択が最悪でした。今度は超絶パワハラ上司です。初めての企画の仕事で不慣れなのに「T大卒なのに中学生レベルの仕事ができないね」と毎日言われ続け、鬱を発症し長期休職しました。
現状から逃げることは良い選択ですし、応援します。でも焦って何でも良いから脱出!という安易な考えだと、最悪のケースは更に悪い環境に変わってしまう可能性もあることを覚えていてください。
現職場での評価が悪い場合は注意
現職場での評価が悪い場合は、異動願いは慎重に進めた方が良いと思います。丁寧な説明が必要です。
というのも、あなたがどんなに本気で真面目に次の職場で頑張りたいと考えていても、現職場の上司は好意的には受け取らないでしょうし、積極的に異動の協力はしてくれないかもしれません。
なぜなら、上司があなたが仕事ができない事実を隠して次の職場へ送り出してしまうと、後で受け入れ先から「何でこんな使えない奴よこしたんだ!」と怒られます。上司の信用問題になりますよね。
だから「できない人間」と分かった上で、他の部署に押し付けるような形になるのは、上司も気が進まないですし、面倒に巻き込まれたくないと考えるのです。すいません実は課長時代の私もそうでした。
もしあなたが現職場で評価が悪いのなら、形だけで良いので今までご迷惑をかけたことを謝罪し、完全にリセットして0から新しい業務を丁寧に覚えていきたい、挑戦したいことを真摯に説明すべきです。
今まで大きな成果は出せませんでしたが、0から新しいスキルや知識を身に付けて、製品開発の戦力として役に立ちたいということを丁寧に伝えれば、さすがに上司もちゃんと理解してくれるはずです。
上司が納得できる異動願いの出し方
これまで述べてきたことのまとめにもなりますが
- 今の仕事ができたことに感謝する
- 事前に学習し本気度を見せる
- 現在抱えている仕事は完遂を約束する
- 「立つ鳥跡を濁さず」を貫く
大切なことは、あなたが異動を相談する上司は、今後も同じ部署にい続けるという事です。つまりその上司から快く了解をもらい、その後協力してもらうためには現部署の仕事を大事に扱うことです。
いまの仕事が嫌で異動したい!という方も多いと思いますが、そこは大人の対応をしましょう。今の仕事は自分の成長につながりとても感謝してますが、更に新しいことに挑戦したい!という姿勢が大事。
あとは異動願いをするならば、希望の異動先に関する勉強は自分なりに調べてしっかり実践してください。ここで本気度が伝われば、グッと上司の協力を得やすくなるはずです。冷やかしじゃないぞ、と。
どうしても異動ができない時の対処法
これまで述べてきたように、上司に礼儀を尽くし、丁寧に説明をすれば大抵のケースでは異動願いを真摯に聞いてくれ、協力もある程度は得られると思います。ですが、それが叶わないケースもあります。
例えば上司が頑固で了見が狭く「部下が出て行ったら俺の管理能力が低いと思われる」みたいに小さいことを気にするダメ上司もいます。こうしたタイプは意地でも異動を阻止すると思います。
そうなると異動できないのはあなたのせいではありません。違う方法を考えなければなりません。例えばあなたの会社に上司に内緒で応募できる社内転職制度はありますか?まずは環境を変えるべきです。
最初はハードルが低い社内転職を検討してみてください。ただもし社内転職制度自体がなかったり、社内の異動がこれまでの慣例として難しい場合は転職も視野に入れて活動をされた方が良いです。
私がこれまで経験した社内転職、転職で成功するためのポイントを丁寧にまとめていますので、こちらの記事をぜひ参考にしていただければと思います。あなたのお役に立てればと思います。
参考記事社内転職に成功する4つのコツを教えます【成功者の実践お墨付き】
参考記事30代の転職で失敗しない4つのポイントとは【転職組の即戦力課長談】
まとめ
では本日の記事の内容をまとめます。
異動願いを出す前の注意点は
- 希望の異動先を根拠を持って決める
- 次の異動先で役に立つ知識・スキルを学ぶ
- 逃げたい気持ちが先行していると危険
- 現職場での評価が悪い場合は注意
の4点です。
上司が納得できる異動願いの出し方は
- 今の仕事ができたことに感謝する
- 事前に学習し本気度を見せる
- 現在抱えている仕事は完遂を約束する
- 「立つ鳥跡を濁さず」を貫く
ということです。
ただ、どれだけ上司に真丁寧に説明して、本気度を見せたとしても、頭が固く絶対に異動を認めないダメ上司も確実に存在します。その場合は、環境を変えリセットするのが良い手段だと思います。