
・大企業への転職のデメッリットが分かる
たけと申します。現在、半導体メーカーでプロセスエンジニアとして働いています。私は34才、46才で2度の転職をしましたが、一貫して従業員数3万人以上の大企業勤務です。大企業歴23年で、そのメリット・デメリットも熟知しています。
私自身はベンチャー、大企業どちらかが優れているという認識は全くありません。例えばユーザー近い立場で店舗に特化したシステム開発などはベンチャーの方が有利だと思いますし、逆に国に納めるような巨大サーバーなどの特注品は大企業が得意とするところです。
本日は私が特に詳しい大企業への転職におけるメリットとデメリットを詳しく述べて行こうと思います。あなたにとってメリットの方が魅力的だなと感じたら、是非大企業も転職候補に入れてみてください。
この記事でわかること
30代転職で大企業に入るメリットとは?
30代転職で大企業に入るメリットとは
- 30代にふさわしいポジションがある
- 教育制度が充実している
- 規模の大きい仕事が出来る
- 社内で築いた人脈が強い武器になる
の4点です。では詳しく見て行きましょう。
30代にふさわしいポジションがある
大企業への転職では、30代に見合ったポジションを用意して頂けるケースが多くこれは大きなメリットです。
というのも大企業では同じような業務内容でも似通った部署がいくつも存在する為、例えば30代ならサブリーダーかリーダーのポジションがふさわしいかな?と判断すれば、そのポジションが空いている部署に配属出来るのです。
前職で所属していた技術営業部も、第一営業部から 第四営業部まで4つもあります。それぞれの部署に部長さん、課長さん、係長さん、リーダー、サブリーダーが配置されるので人数的にはかなり大規模になります。当然、空きポジションもどこかに発生しています。
30代で転職を希望される方も、転職先でいきなり新人さんと同じ丁稚奉公扱いになるのは避けたい、という場合が多いと思います。私もそうでしたし、気持ちはよく分かります(笑)。
であれば、ある程度の希望の業務に就け、それなりに納得できるポジションが与えられる大企業はとても良い選択肢になるかと思います。
教育制度が充実している
中途で入ってから充実した教育を受けられるというのは大企業ならではのメリットかと思いますし、私もこの点は大企業が誇って良い面だと思います。
教育制度が充実していることは、30代の方にこそ本当に大きなメリットです。やはり転職先の職場では、仕事内容もルールも全く変わるのが普通です。例え同業界の同分野に転職したとしても確実にこれまでとのやり方の違いは出てきます。
そんな状況下で30代で転職し、分からないことを入社2年目の若手に何度も何度も聞いて教えてもらうなどちょっと引け目を感じてしまいますよね。
そんな時に自分のパソコンでWEB学習したり、あるいは研修先に出向いて業務に関係のあるルール、手続き、技術等を丁寧に受講させてもらえるのは大企業の強みですね。
規模の大きい仕事が出来る
中小企業ではできない大規模なスケールの仕事が出来るのも大企業の醍醐味ですしメリットです。
やはり大企業では、ビジネスの相手が国や一流メーカー、はたまた海外のIT企業というケースも多々あります。そういった取引先との仕事では、規模としても億単位となるビジネスが多数発生する為、直接そのような規模のビジネスに携われる機会が多いのです。
特に30代で転職して入ると、リーダーやサブリーダーとしてビジネスに関わるケースが多いと思うので自分が統括として仕切りながら「億単位の仕事」を回すこともあるでしょう。
逆にそれだけ大きい仕事なのでプレッシャーも半端ないですよ(笑)。私自身も思い出すのも怖いですが、新人時代に回路設計をミスって、あわや5億円の商談をオジャンにするところでした。
先輩社員が製造途中に気づき、緊急の回路修正で何とか事なきを得ましたが、あのまま世に出たら市場不良で大変なことに・・・(笑)まあだからこそ、真剣にビジネスに向き合えるとも言えますね。
社内で築いた人脈が強い武器になる
社内で作った人脈が武器になる良さもあります。
大企業では非常に重要で、かつ人手を多く抱える部署が沢山あります。例えば技術開発の面から言えば設計部門、検証部門、製造部門、試験部門、評価部門、といった具合に。これらそれぞれが巨大な部署で重要な任務を沢山抱えているのです。
このように大企業では重要な部署が沢山あり、それらの部署間で人材の流動・行き来が頻繁にあるのが通例です。ですので、例えばある時点では
私:設計部門
相手:製造部門
という立場で仲良くコミュニケーションを取りながら仕事をしていても、ひょんなタイミングで
私:試験部門
相手:試験部門
と同じ部署に配置転換され、一緒に仕事をする機会も多々あります。ですので、一度築いた社内の人脈は別の機会でも凄く生きてくるため、とても仕事がやりやすくなると思います。
人が少なく、人の異動まで考慮できない中小企業やベンチャーではこのようなメリットはあまり出せないかと思います。
30代転職で大企業に入るデメリットとは?
30代転職で大企業に入るデメリットは
- 既存の給与体系に縛られる
- 個人業績よりチームでの成果が重視される
- 決済手続きが煩雑で面倒
- ファシリテーターが出来ないと評価が低い
の4点になります。では早速詳しく見て行きましょう。
既存の給与体系に縛られる
残念ながら既存の給与体系にガチガチに縛られるのは大企業のデメリットと言えます。
大企業では大量の社員の給与を理路整然と算出するための職務制度&給与制度がガチガチに定まっています。会社の業績(利益)を大量の社員で分配する為、昇給の幅も一定額以下に抑えられた制度になってしまっているのが現状です。
前職でも今の会社でもそうですが、1年ごとに業務成果に対しポイントを付け、何点たまったら上位等級へ昇給という感じになります。ですので実績が良かったから、係長→いきなり課長みたいに飛び級のごとく給料が上がることがないのがデメリットです。
1年ごとの業務成果が良かったら月収で数千円~1万円程度上がります。それも何年も積み上げてようやく上位等級に上がり一気に年収が上がるという仕組みで地味に成果を積み重ねる必要があります。
個人業績よりチームでの成果が重視される
大企業では個人がどのくらい出来たか?ではなくチームとして部署として何か出来たか?いつまでにできたかが最重要になります。
さきほど述べましたが、大企業では億単位の巨大なプロジェクトを良く手掛けます。最終成果を出す為にはありとあらゆる工程・作業があり、それに対しチーム一丸となって膨大な時間と労力をつぎ込むことになります。
業務の過程においても、大事なことは10の工程の内3までを1ヶ月で完納できたかどうか?であって、〇〇君がプログラムを1日で完成出来たかどうかなどどうでも良いことです(ちょっと語弊ありますが)
個人が優れた業務を行ったとしても、プロジェクトを滞りなく進めるための工夫が出来て良かったね、というくらいの重みです。
勿論優れた仕事をすれば自部署での信頼は高まりますが、外部からの評価は全てチームの成果が問われ、個人の出来不出来はあまり意味がないということがお分かり頂けたでしょうか?
決済手続きが煩雑で面倒
決済の手続きが面倒なのも大企業のデメリットです。大企業病、という言葉がありますが、決済が面倒で遅いというのは大企業病そのもので超デメリットだと思います。
つい2日前に実際にあった話ですが、ある製品の開発スタートを承認する手続きがありました。承認ルートは
担当者
↓
リーダー
↓
課長(私)
↓
部長
↓
部門長
↓
事業統括部長
↓
取締役
とお前何段階踏んでんだよ!という決済になりました(笑)。このルートを見ただけでげんなりする方も多いと思いますし、大企業内部の人間もこの手続きが大嫌いです。
手続き自体も面倒ですが、決済を取っている最中に上の人間(部門長や取締役)が「俺はここを変えるべきだと思う」など既に決まったことをひっくり返すので余計に手間です。
資料を修正し審議をし直し、改めて決済巡礼のやり直しという作業を何度も経験しています。多分これが大企業の最大のデメリットですね。慎重を期す、ということとくだらない手続きを繰り返すことは別だとは常々考えていますけどね(笑)。
ファシリテーターが出来ないと評価が低い
30代なら、ファシリテーター(会議進行やとりまとめ)がまともに出来ないと評価は低くなるのが大企業のデメリットです。大企業の仕事は規模が大きくその分一緒に仕事をする部署の数も膨大になります。
特に新製品を立ち上げるとなると設計から出荷までゆうに20~30の部署が関わってきます。それゆえ、ありとあらゆる部署との調整や折衝にファシリテート力が求められるのです。
例えば自分が主催した会議で意見が割れ、方針が一つに絞れなかったときにどうしますか?おどおどして「それぞれ持ち帰りで再検討を・・・」なんて言ってたらいつまでも決まりません。
私なら、意見が割れた時により論理に無理が無い意見を支持します。そしてその他大勢の方に向けて「こちらが良いと思いますが、いかがお考えですか?」と話を振って外堀を埋めてしまいます。大事なことは
・会議の場では結論・方向を出すこと
・結論は合意を持って導くこと
・どの意見を持った人にもしこりを残らせないこと
・無駄な意見、資料は切り捨てること
だと考えています。このようなファシリテート力が求められてしまうのも大企業のデメリットかもしれませんね。前職であまり慣れていないとちょっと面食らってしまう場面かもしれません。
大企業ならではの仕事以外のメリット
大企業ならではの仕事以外のメリットは
- 福利厚生制度が充実している
- 保険加入料金が割安
- 勤務時間制度に選択肢が多い
の3点になります。では解説しますね。
福利厚生制度が充実している
福利厚生が充実しているのは大企業ならではのメリットですね。例えば自前で保養所やホテルを所有し、社員は相場の半額以下で豪華な宿に泊まれる等は大企業のメリットですね。
他にもコンサートチケットや温泉チケットが格安や半額以下など、おそらく中小企業やベンチャーでは受けられないサービスを定常的に享受できるというのはとても恵まれた環境ですね。
保険加入料金が割安
保険が安く入れるのも大企業ならではのメリットです。実は大企業では一流の生命保険会社と提携し、その企業の人だけが入れるお得な保険制度があります。
たとえば普通に入ったら1万円の掛け金が、同程度の補償で7,000円では入れたり、1年後の余剰金返却で6割も掛け金が返ってくるなど。保険会社さんも特定の大企業を優遇してるとは言いづらいとは思いますが、実際大企業に所属しているとそんな恩恵もあります。
うちは子供が3人いますが、お子さんが多い状況で転職を考えるなら、こういった面でも大企業はオススメと言えます。
勤務時間制度に選択肢が多い
勤務時間の選択肢が多いのも大企業の大きなメリットですね。
代表的なのはフレックス勤務制度です。たとえば定時が8時30分~17時30分だとしても、フレックスを選択肢10時~19時勤務にするなどもできます。
他にもお子さんの送り迎えが必要な方は短時間勤務を選択できたり、1時間単位での細かい休暇申請などができるのも大企業の強みかなと思います。
あとはうつ病などの心身の疲れを原因とした休職に関する制度もしっかり整っています。勤務制度の幅に関しては、文句なしの対応をしてもらえると思います。
まとめ
本日は30代で大企業に転職するメリットとデメリットについて述べてきました。再度まとめますと、大企業に転職するメリットは
- 30代にふさわしいポジションがある
- 教育制度が充実している
- 規模の大きい仕事が出来る
- 社内で築いた人脈が強い武器になる
の4点です。そして30代で大企業に転職するデメリットは
- 既存の給与体系に縛られる
- 個人業績よりチームでの成果が重視される
- 決済手続きが煩雑で面倒
- ファシリテーターが出来ないと評価が低い
の4点になります。
大企業には仕事以外の面でもメリットが多いのが特徴です。もし本日の記事を読んで頂いて大企業に魅力を感じて頂けたなら、是非大企業への転職にチャレンジしてみてください。きっとあなたにふさわしい部署と仕事があるはずです。
追伸
もし今後のキャリアプランや転職で迷ってらっしゃるようでしたら、直接私が状況を伺い、これまでの経験と実績から考えうるアドバイスをお伝えすることができます。
エンジニア歴23年で開発から営業、また役職としては課長まで経験しています。特に製造業に関してキャリアプランや転職でお悩みの方には適切なコメントが出せると思います。
残念ながらネットの製造業、半導体の仕事の説明記事は半分以上がエンジニア未経験者が書いた不十分で間違いだらけの情報になっています。そこから情報を得ることは危険です。
正しい情報を入手し、エンジニアとして最短で望ましいキャリアパスを作るなら、一部上場3社で様々な業務を経験し、実績も上げた私のコメントは参考になると確信しています。
もしご興味がございましたら、本ページ下の「【転職、キャリアで悩んだら】直接お話伺います」をご覧ください。では、頑張っていきましょう。